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無職の雑記

Garbage in, garbage out.

私は奴隷になれなかった

人権で守られた奴隷ほど使い勝手の悪いものはない。

私は奴隷になれなかった。その才能が、能力がなかったからだ。社畜云々と言って、嘲笑している者の過半は、そもそも、奴隷にさえなれない残骸みたいな存在である。私は奴隷になれなかった。

私は奴隷になりたかった。皆と同じように、ちゃんと学校で調教を受け、真っ当な奴隷として社会で生きたかった。でも私には能力がなく、奴隷学校を落第した。奴隷になる勇気がなく、家に引きこもった。親は奴隷になることを望んでいたし、私もそれは分かっていたけれど、どうしようもなかった。

高校を落第し、10年後、もう一度だけ奴隷になる努力をしてみようと、私は思った。思って、夜間の奴隷専門学校に通い、修了した。残骸みたいな人間でもなれるという噂が流れていた、ビルメンテナンス(ビルメン)の求人に狙いを定め、「経験不問」と書かれた求人の全てに、中身を見ずに応募したら一つに引っかかった。それから2年半、私は奴隷として生活した。やっと奴隷になれたんだと、思った。

けれども私は役に立たない奴隷だった。ほとんどの時間は「そこにいればよい」程度の要求しかない最下級の奴隷でも遂行可能な仕事だったけれども、たまに訪れるトラブルを解決する能力が、私にはなかった。徐々に、私はやっぱり奴隷には向いていないーーその能力がないーーと、思い詰め始め、周囲の幾人かは、あまりに私が奴隷としての能力が低いために、無視をしたり、嫌がらせをしたりし始めた。もちろん、奴隷として立派に働くことのできない私こそ、最大限の嫌がらせだった。私は奴隷を辞めた。

私は奴隷になれなかった。