無職の雑記

Garbage in, garbage out.

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炎天下、ネットカフェの立て看板の横で、そのチラシを配っている。大変なことだ。歩行者は彼から1メートル以上離れたところを歩くのだけれど、彼は律儀に、歩行者に向けチラシを持った手を曖昧に上げる。チラシを配る行為の模倣。彼は彼なりに真面目なんだろう。実際には不審でしかないが。

最低賃金は743円。

400円の価値しかない人間が800円で雇われた場合、基本的には、所定の時間内に倍の分量を詰め込まれるか、あるいは単に時間を倍に伸ばされその分の賃金は支払われない、ということになる。通常はどちらか一方でなく、双方のメソッドのブレンドであり、企業ごとにそのブレンドの仕方や、どちらのメソッドが得意であるか等に特性はある。「餃子の王将」スタイルとか、「アリさんマークの引越社」スタイルとか、企業ごとにある伝統芸、アートとでも呼べるもの。それを鑑賞したいのなら、「POSSE」のような格差文学でも読んだらよいのだろう。あるいは非常勤の社会学者の書いたルポとか。しかしいずれにせよ、基本的なお話は単純で、ブラックな企業とブラックな人材。その間で起こること。外部からはうかがい知れず、またどうでもよいような何か。

というようなことを、彼を見ていて思ったが、あまり信じているわけでない。信じていないことばかり思う癖を治したい。

私は家賃を払いに外に出ていた。残高は、

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だった。半分生きるのを止めれば、もっと長持ちするだろうか。しかし、すでに半分生きるのは止めている。アトゥール・ガワンデ『死すべき定め』を読みたいと、思った。導入は、トルストイの『イワン・イリッチの死』だった。

死すべき定め――死にゆく人に何ができるか

死すべき定め――死にゆく人に何ができるか

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