無職の雑記

Garbage in, garbage out.

『ある島の可能性』再読

再読中。ウエルベックの主張の強さについて行ける自信がなかったのだが、結局楽しく読んでしまっており、困ったことだね。

現実に対し幾重にも注釈を施し、その注釈の上にも更に注釈を重ねていくこと。現実を遠ざけ、揮発させてしまうこと。そうすればきっと、幸福になれるかどうかはともかく、生きる苦痛は減じるのではないか、と期待してしまうこと。そんなの全く根拠レスで、誤謬でしかないにもかかわらずそう思ってしまうこと。そういうのは、未だによく分かる。そして、注釈の中にどれだけ現実を消していこうと、不意に消去しきれない現実が自己主張しだし、最終的にはその注釈の外側に触れたくなってしまうという、何とも切実かつバカらしい必然性も、よく分かるよ。くだらないなと思いつつも、良いなと思う。

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ウエルベックの小説デビュー作である『闘争領域の拡大』には、こんな言葉があるけれど、これは、彼の最近作『服従』にまで共通する、彼の核だと思う。

一生読書して過ごせたら、どんなに幸せかと思う。僕は7つの時分にはすでに読書の力を知っていた。この世界の仕組みは痛々しく、生きづらい。僕にはそれが修正可能とは思えない。実際、僕には一生読書して過ごすほうが向いていると思う。

そんな人生は、僕に与えられなかった。(pp.14-5)