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無職の雑記

Garbage in, garbage out.

絶望/希望

ずっと寝たきりであると、身体とベッドとの接触面での血行が不全となり、周辺組織が壊死を起こしたりするのだけれど、例えばそんな風になったとして、しかもあまりに酷いため骨まで露出するようにさえなったとして、一体絶望以外の何があるだろう、とは思う。

でも仮に、上記の彼がチンパンジーであったのなら、そこに絶望はない。それを絶望的だと考えない、というか「考えられない」。実際そんな状態になったレオという名前のチンパンジーが、松沢哲郎さんの研究所にいるそうなんだけれど、レオは、

私であれば生きる希望を失うというような状況のなかでも、まったく変わらなかった。めげた様子が全然ない。けっこういたずら好きな子で、人が来ると口に含んでいた水をピュッと吹きかける、なんてこともする。キャッと言って逃げようものなら、すごくうれしそうだ。*1

チンパンジーは「いま・ここ」を超える想像力を人間ほどには持っていない。だから、それは絶望することができない。希望もまた。しかし人間は、

[…]容易に絶望してしまう。でも、絶望するのと同じ能力、その未来を想像するという能力があるから、人間は希望をもてる。どんな過酷な状況のなかでも、希望を持てる。*2

これが果たして良いことなのか私にはよく分からないし、チンパンジーになれたほうがいい局面というのも人生にはあるだろうと思ったりもする。

でも、「チンパンジーになれたほうがいい」という想像自体、とても人間的なものなのだ。良かれ悪しかれ。

理性の起源: 賢すぎる、愚かすぎる、それが人間だ (河出ブックス 101)

理性の起源: 賢すぎる、愚かすぎる、それが人間だ (河出ブックス 101)

想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心

想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心

*1:松沢哲郎『想像するちから』、網谷祐一『理性の起源』より孫引き

*2:同上

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