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無職の雑記

Garbage in, garbage out.

石田徹也

本屋で、石田徹也さんの遺作集というのを眺めた。

ああ、これはダメだ、と思う。

絵の意味・感覚みたいなものは見た瞬間に分かる。それ以上に何かを考える必要もない。この人の絵は見る人に自由を許さない。よくわからないものを前に右往左往し、その右往左往の時間の中で自分なりの感覚を立ち上げる、ということを許さない。

スタンプのように分かりやすい。

で、この種の感覚をスタンプのようにわかりやすく形にしてしまう、ということは、個人的には「役に立たない」と思う。スタンプのように分かりやすく形にされた感覚だから、他の人も簡単にわかってくれるだろうなと想像できてしまう。その想像が「役に立たない」。

と書くのはもちろん、この人の絵が強力だからです、自分にとって。何だか、引きずり込まれてしまう。

私は家を出てエレベーターを待っているとき、部屋にちゃんと鍵をかけたかが気になることになってる。で、よく戻って確認する。開いてたことはない。これがひどくなると強迫性障害と呼ばれる。

言ってみれば石田さんの絵というのは、ある種の感情・感覚への「強迫」あるいは「嗜癖」へと、私のような人間を引きずっていく力があると思う。でも、私はもうその感情・感覚につきあいたいとは思えないし、鍵をかけたか何度も確認したくもない。

これから買い物に行くんだよ。豆乳と豆腐とカット野菜を買ってくんの。お前の相手をしてられるほど暇じゃない。

この人は31歳で死んでる。踏切の中に立ち入って。

私の目的地は踏切内じゃなく、近所のスーパーなんだ。

だから個人的な見解として、この人の絵は「役に立たない」。

石田徹也遺作集

石田徹也遺作集

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